出向とは、元の企業との間で従業員としての地位を維持しながら、他の企業においてその指揮命令の下で長期間にわたり就労することをいいます。
これに対し、元の企業で籍がなくなる(労働契約関係が終了する)場合は、「転籍」といます。
出向が認められるためには、(1)労働契約上、出向を命令することができること、 (2)出向命令権の行使が権利濫用に当たらないことの2つが要件となります。
次に、出向命令権の行使が権利濫用で無効になるのはいかなる場合かについてはa.業務上の必要性、b.不当な動機・目的の有無、c.労働者の被る不利益の大きさを判断することになります。
事 案(東京地裁平成29年10月10日) |
JR東日本の業務外注に伴う出向は実質的な転籍で違法だとして、水戸(茨城県)、高崎(群馬県)、千葉(千葉県)の3支社に勤務していた動労千葉などの組合員が出向命令の無効確認を求めた訴訟。JR東は平成24年、3支社の車両の検査業務などをグループ会社に委託し、担当者を出向させた。組合員側は「出向期間を終えても戻る場所はなく、不利益は大きい」と主張した。 |
結 果 |
東京地裁は、「賃金などは同水準で、不利益は通常の異動で受け入れるべき範囲内だ」と指摘し、訴えを退けた。 |
出 典 |
2017.10.10 19:46 JRの出向命令巡り提訴の動労千葉組合員ら敗訴 産経ニュースより |